「あれ、なんだっけ」

一介の人の妄言と出来事

一端 ビデオ通話

「あなたは幸せになれよ!」 「これでフラれたらどうしようね?」 「フラれたら私が押し掛けるよ。」 「じゃあきっとそんな話をしているときは向こうの家にいるだろうから住所を前もってLINEで送っておくわ。んで、ダメだった時にあ、とか呟いたらドアをどん…

夢を殺める

コロナのせいで、渋々承諾してくれた親が渡航を辞めろと言った。 「後期に行くのだからまだ望みはあるでしょう、学校から留学辞退の連絡が来たら流石に大人しく従うけれど。」 そう言って親からの反対を一蹴して、何とか希望を、留学をする可能性を考えなが…

描く

ぼくは、高校生になって1年間美術部にいた。周りの人たちはそれはもう絵を描くのが好きで、センスのかたまりで自分の世界を持っている人たちだった。顧問は全国にも行き、生徒も数多くが賞を取っていた。 入部してすぐに分かった。周りと比べていかに技量が…

湯船

元栓を上げて、ボタンを押す。少しすると温いお湯。 お湯の温かさで己の冷たさを知ってぶるりと震える。これほど自分の身体は冷えきっていたのか。 湯船に浸かる。この包まれている感覚がたまらない。しばらく浸かっていると湯船と一体化して自分が液体にな…

「時間」⇔「日」

親のいない間に帰ってくることを気にしないで長電話したいという小さな願いが叶いました。平日の電話。10:00になっても返信が来なかったら寝ているってことだから鬼電してという風に話していたけれど、59分に既読が付いたのを確認してえーいかけてまえと丁度…

凡庸

僕には一体何がある。もがいて悔しくて何もできずにただただ部屋の隅にある窓を見て泣いたあの時を思い出した。 周りには凄い人しか存在せずに話せば話すほど己の凡庸さを痛感させられた。 なんでこの人たちは自分を好いてくれるのだろう、足掻くことしかで…

構わずの枠組み

solive.hatenablog.jp 自分の人生結局自分のものではあるけれど、その人生が誰かにいい意味でも悪い意味、大なり小なりでも影響を少なからず与えているはずなので責任は持たないといけないと思う。程よく形振り構わずにしなきゃいけないのが難しいとこではあ…

形振り構わず

全部のこと、永遠なんてなくていつか肉体的・時代的な要因で終わりが来るのを分かっているから、楽しいことはさも永遠があるかのように、辛いことはすぐに過ぎ去るからへっちゃらだって振舞う。 本当は楽しい時ほどすぐに終わりが来るし、辛いことはなかなか…

青山通り

コロナと言われ続け、現在も要請に応じて極力家から外に出ていない上に自分が行っていたバイト先までもが影響をもろに受けて丸々無くなったために運動不足が否めない。このままではまずいと考え、試験を受けた帰りにJR線まで歩いていくことにした(その試験は…

回想

離れていても一緒。そう言って私はおばぁがビーズで作った手鞠のキーホルダーを渡した。貰うときにおばぁから繰り返し言われた。 「これは2つで1つだからね、絶対にペアで持って帰って。ほらみて。必ずどこか1つは同じように作っているからね、これは紐、こ…

体を動かしたいというふとした発言からスポッチャに行くことになり、自分の家から近い駅からバスが出ているとのことでその駅で集合した。いつもはこちらの方が集合場所に行くのに時間がかかりがちだから新鮮な気持ちであった。 バスの中では「自分は近いうち…

静かで楽しいお酒

どうやら一番お酒の種類が多いのではないかという場所に案内された。お酒だけで9000円近く買ってレジで金額を見て2人で思わず顔を見合わせる。 「おおーん、やるやん」 「割り勘ね」 「はいよ~、……てっきり奢ってくれるかと思ったのに?」 「じゃあ、食べ物…

自重自嘲

吉澤嘉代子さんの『美少女』と『手品』を聴く。自分の感情にすとんとフィットして心地いい。もっと自分のご機嫌取りが上手だったらこんなに悩まなくて済む。 仲良くなると負の感情をすぐにひけらかしてしまう自分が嫌いだ。もっと強い人間でありたい。 雑巾…

炭酸割

残りかけの柚子酒の瓶を手に取り口にした。ゆらりゆらりと睡魔が訪れる。 モヒートを少し、炭酸を5倍ぐらい入れる。家で作ったものは炭酸が強くなくて飲みやすい。ここまで薄めたら睡魔は訪れない。鼻に抜けるミントの匂いとライムのさっぱりとした味が仄か…

手遅れ

私の中の悩みや不安をそうやって"なんとかなる"って言うの止めてちょうだい。 寄り添えない人は嫌いなの。 だから上辺で近寄らないで。その一語一句に殺意が芽生えてしまうし、そんな薄い情けや励ましの言葉なんて不要。 その楽観的な考え方が許せないし、そ…

少なくする

今に始まったことではないが、断捨離・入れ替えを頑張っている。最近頑張ったことを記す。 ・本を50冊ほど手放した。 20冊は売りに、30冊は従姪たちにあげた。自分が本を大好きになった年齢になって、自分の元にいるよりこの子たちの元にいるほうが本も本ら…

回想 ロフトのある部屋

抱き締められた体の重み、触れる頬の柔らかさと温かさ、華奢にも関わらず手を回して知る背中の広さ、立って抱き締めた時に感じた顎を肩に置きづらい身長の高さ。そして何より嬉しかったのは、ふと眠りの世界から戻った時に最初にあった感覚が頭を撫でられて…

本日記②

腹心の友から貰った、よしもとばななさんの『もしもし下北沢』を読み終えた。まるでパラレルワールドの私みたいな人が主人公だった。終わりの気配を感じながら、その終わりを受け入れる。冷たいようで暖かい終わりを知る主人公。その気持ちを抱えながら生活…

200

200回見て貰えたようです。 みなさんどうもありがとうございます。

終電と星

「あ、イルミネーション!」 アパートの前に立っている2本の木が電飾を施していた。実は近くに寄るまで蔦に電飾を施していると思っていたのは内緒である。 あれもそうだよ、これすごいね、と心が踊る。渋谷や恵比寿のイルミネーションもいいがこういう家のモ…

The Strawberry Sundae

彼女と夏に遊びに行った時のこと。かねてから行きたいと思っていた喫茶店に入ることができた。駅の真ん前だというのに何故だか入る勇気が出なかった所だ。 窓際の席で凍えるような冷房とたばこの匂いで満ちていた。メニューを見るとパフェが並んでいる中で唯…

Sence Like a Cottoncandy

「最優秀賞取った!」 と、授業終了間際に彼女の書いた文が優秀作品として選ばれたとLINEが届いた。一部の知人はきっと僕のことを書いていると気付いただろう、僕がドイツに行くことは巷に知られていることである。 実際にいる人を題材にして僕は大っぴらに…

たびたび

薬を飲んで、酒を飲んで、ただ頭の回る感覚だけに身を委ねて逝きたいとたびたび願う。 カッターと水で意識が遠のくのもいい。 親が嫌いだ。この世に生まれたことを悔いている。可能ならば生まれたくなかった。それもこんな汚くてヘドロのような人間ではない…

Fraise

腹心の友が誕生日祝いと留学決定(ほぼ)にプレゼントをくれた。 封筒を開けるとふわりと香る。自分があげたものだとすぐ気付き思わず「あっ。これあげた香水の匂いがする。」と声を漏らす。香りは意外に感じるものだ。特別な手紙には文香を添えるのだけれども…

こうかんこ

お守りを色々持っている。神社で買ったもの、貰ったもの、”声”が聞こえた時に持っていたハンカチ、バディが折った鶴などなど。 2日前お守りの1つであったコインを交換した。東ドイツの硬貨で1年前にフェスティバルに行った時に「ドイツ語を学んでいる綺麗な…

副作用

周りの音が半音低く聞こえる。そう気づいたのは服薬した翌日だった。聞こえるチャイムの音、電子レンジ。決定打になったのはタケモトピアノだった。 あのタケモトピアノだ。音が絶対に変わるわけがないのにその音が完全に突拍子もない変な音になっていて自分…

酔いの中

臭いがする、独特な臭いが。これはドイツの匂いらしい。これまでに嗅いだことのないものだ。 一口貰ってすうと吸い込み吐く。はじめて煙を吐いた。苦い。喉の奥で味がして、じ、と焦げたような感覚がする。 煙が自分に燻る。自分が吸っているわけではないの…

腑に落ちる

"人間はもともと男男、女女、男女であった。しかし神が半分に分けてしまった。半身になったもう一方の自分を探す旅。それを愛と呼ぶ" プラトンのギリシア神話、と言って教授が話した。「半身を探す旅」つまりは、自分を本来の自分を取り戻すことだと解釈して…

克己

負けるな 怯むな 退くな 自分は強い、凄い 不器用だから、それだけ頑張っているだろう? 勝負の時だけはそうやって自己暗示して乗り越える。乗り越えていく。

ラブレターをば

時刻はAM2:17。スマートフォンで打っている。蝉が最期の足掻きで2輪駆動のふかした音のように鳴く。 親愛なる友を思い描く。この人はよく"彼女"と表現して自分を綴ってくれる。似ていて異なるが素敵だ。 この友の誕生日が近いのだ。手紙も書くつもりであるし…