こうかんこ
お守りを色々持っている。神社で買ったもの、貰ったもの、”声”が聞こえた時に持っていたハンカチ、バディが折った鶴などなど。
2日前お守りの1つであったコインを交換した。東ドイツの硬貨で1年前にフェスティバルに行った時に「ドイツ語を学んでいる綺麗なお嬢さんたちにお金がたくさん貯まりますように」と優しきドイツ人のおじさんがくれた。
もともとは何の香水をつけているかダメ元のクイズに正解した景品として何かをただ貰うはずだけだった。(この日は雨が降っていて3回付け直したらしいが全く感じなかった)。
本当にダメ元で自分がシャネルの№5を持って、コレ。とあまり時間をかけずに見事正解すると本当に当てやがった、と言いそうな目線を向けられ、無言ですくっと立ち上がるとクローゼットの中から”ご丁寧”にドイツ製のジップロックに入ったユーロ硬貨を何枚か選び、200円位ね。と言って渡してきた。
そう、その景品を貰って終了だったはずだったのだが。
「私も外国のお金を持っているんだよ、あなたも行ったと言っていたフェスティバルで貰った東ドイツのね。」
「そんなお店あったっけ。」
と言ってコインを渡して見せた途端、じ、とまっすぐに目線を向けられる。
「…これ欲しい。」
「ん?あれ私が景品を貰って終了じゃなかった?」
手を伸ばしてみるが返される動きは全く見られない。
「東ドイツのお金は持ってないからさ。トレードで。」
「そんな欲しいん?」
こくりと頷く。
「…仕方ないなあ、これ私がお嬢さんたちにお金が貯まりますようにって貰ったお守りなんだから大切にしてね?」
「ん。…それを俺が貰うというね。」
とまあこんな流れで、(多分)ペニヒからユーロ硬貨というお守りのバトンタッチがひょんなことで執り行われたのだった。歴史的価値は現在進行形で使われているのでゼロ。けれどもこのような思い出が込められているから立派なお守りだ。(自分がお守りにしているものは大半このようなもの)