2019-08-01 一端 日常の延長線 「やっていけないよ。」 おもむろに箱を取り出せば慣れた手つきで蓋を開け、吸って、そして大きく吐き出すと共に、ずずっと前のめりになる。煙を肴にするように追って麦酒を流し込む。 その一連の動作に何故だか目が奪われる。その光景も印象的だが、何よりも音が耳に残っている。 吸い込んだ煙が胸の中で苦さを滲ませる。相手が日々心に覚えた苦さを自分までも共有しているかのように錯覚するのであった。