「あれ、なんだっけ」

一介の人の妄言と出来事

失恋

 父は、苦しい歌が好きだ。

 昔はなんて陰気なんだと馬鹿にしていたのだが、自分もいつの間にか苦しい歌が好きになっていた。

 特に父の苦しいという曲の内容は失恋だ。なぜ父が失恋の歌を好きなのかはよくわかっていない。けど昔は苦しんだんだろうな、この人も愛を求めたんだろうなと思いを巡らす。

 自分も父も慢性的に愛を求めている人なんだ。片親のひとりぼっちたち。おかげさまで2人揃って愛を求めるのが壊滅的に下手だ。拗らせ振り向いてもらえていない系親子。(親との関係は(特に母親)人間関係を形成する上での基盤となるらしい。)

 とても似ているのかもしれない。だから傷つけて傷つけあってしまう。

 血がつながっていても分からないものは分からない、結局は他人なんだと良い意味でも悪い意味でも知った。

 苦しい歌は心に寄り添う。言えない苦しみを代弁してくれる。