「あれ、なんだっけ」

一介の人の妄言と出来事

同居人と自分

 同居人と書き表しているが、父である。離婚するまでは「機能不全家族」と呼ばれるほど家庭崩壊していた我が家は、随分前から実質父子家庭という環境であった。ここではどんな状態だったかはいずれ別の記事にしてまとめたいと考えているので控える。

 自分も父も「どうしてそんなに仲がいいんですか?」と様々な人に言われる。

 2人しかいないから

と、父は決まってこの言葉を口にしている。 最近その台詞を使わせてもらっている。

「2人しかいないから。帰ってくるところは一緒で、こんな(ふすまで仕切られた)部屋だから、どうしたって顔を突き合わせることになる。だからうまくやっていくしかない。」

 父は幼い頃に母を亡くしている。だから2人揃って母の愛をあまり受けずに育ってきた。それでいるから、2人ぼっちというような感覚が父にもあるのだろうと推測している。あとは一人娘だから大切に思っているのだろう。

 久しぶりに友人と再会し、今後の展望について話していたときに友人は一人立ちのことをこう言った。

「家族のことは嫌いじゃないしむしろ好きなんだけれども、離れなくちゃいけないと思う。一緒にいれば支えてくれるのは心強いんだけど、甘えてしまうから、自立した人間になるには距離を置かなくちゃって思うの。」

自分もまさしくそう思っていて、こんな風に綺麗に言葉に表せられなかったから、これを聞いて共感を通り越して感動した。

 

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 同居人もそこそこ高齢である。最近自分が授業の影響なのか死について考えこむことが多くなってしまい、自らの死をどう思っているか尋ねたらこんな答えが返ってきた。

「おかぁの歳を俺は越したし、自分の時代のおじぃおばぁも今みたいに長生きじゃなかったし、むしろ、医療が発達して生きる時間が長くなったから、余計に苦しむようになったんじゃないかなって思う。死について考えてしまうのは若いからだよ。若いときは感受性が一段とあるから。ともかく俺はおかぁよりも長く生きることができているし、十分長生きしたから、死はそんなに怖くないよ。60過ぎてこんなに元気でいれるのは驚きだよ。」

 

 この言葉たちを受け止めつつ、卒業したら父と同居し続けるのか、一人暮らしをするのか、何が最善なのか、その答えは見つけ出せていない。