チーズケーキ
2020年8月12日㈬。同居人が玄関を閉めた音を確認すると、パッと起き上がった。今日は久しぶりに図書館へ赴く日だ。これは1つの目的であって本当の目的は家に遊びに行くことである。数ヶ月前にチーズケーキが好きだという話を聞いたので乗換駅でチーズケーキを買って行く計画を立てた。
久しぶりに人と会うという理由でキチンとメイクをする。夏場しか着られない木綿のワンピースを着ることにした。これにしか合わせられないバンダナもつけた。
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わぁ、と素っ頓狂な声を上げて、腕を回されて抱きしめられる。
……ずっと聞きたかったことを聞くことにした。本来は留学から帰ってきてから聞くはずだったこと。
「聞きたいことがあるんだけどさ、本当は留学から帰ってきたら聞くはずだったんだけど、それがなくなっちゃったから聞きたいなって思って。お互いに気持ちが変わらなかったら、付き合おうって話をしたから。…今の気持ちも変わらないんですかね?」
できるだけ、重たい空気にならないように飄々とした口調を努める。
「こんなことするぐらいなんだから、好いていますよ。」
「それってつまり、いいんですか?」
「うん、…俺から言わなきゃな、〇〇〇〇〇〇〇〇〇。」
「はい。」
体を少し離し、見つめられる。食い気味に返事をして肩に顔を埋めた。大っ嫌いな夏が交際記念日だなんて、不思議だな。鼻緒で擦れた足がずきずき痛む。
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帰り道、友人のプレゼントを買いに行ったら間違えて隣の建物に行ってしまい(なおかつ連絡通路も封鎖されていた)大回りをして目的地に到着した。そこで付けたテスターがお風呂から上がってもふわっと香ってきて驚いた。この香水は友人にしか買ったことがないから、いずれ自分のためにも買ってあげたい。