「あれ、なんだっけ」

一介の人の妄言と出来事

デート日記 外出編

 2020年11月14日㈯ 埼玉県民の日に埼玉県立近代美術館の展覧会「上田薫」を観に行った。

 外でデートをするのは3月ぶり。自分は順番にじっくり見た上で作品一覧表にその場でメモ書きを加えるのが習慣になっているので美術館に一緒に行きたいというのは遠慮していたのだがそれでも構わないと誘ってくれた。

 今回のは特別狙っていたわけではないので一覧表はもらうものの鉛筆は持たずに巡った。巡っている際は、ケント紙に書く場合は水張りをするからこのぐらいのものは大変だったんじゃないかとか、保存が難しいのが窺い知れるといった話をしていた。

 埼玉県立近代美術館は苦々しい”美術部”時代の最後の場所で、その場所に立って顧問や絵、講評が苦しかったこと、部員の優しさがあって楽しさがあったこと、駅前のパン屋で買ったピロシキと副顧問が持ってきたミスタードーナツをみんなで食べたことを思い出した。

 ものすごく快晴で、むしろ暑い(20℃ぐらいでガウンを着てしまった)ぐらいの気候で、なおかつ、併設されている公園はとても広いので、恋人の念願だったキャッチボールもした。元野球部に褒められるのはお世辞でも大分嬉しかった。ベンチでのんびり話すのも風がそよそよしていて心地よかった。

 場所を移して、自分の念願でもあったプリクラも撮った。もう少し落書き時間があって盛れるところでまた撮りたい。

 その後は、県内3位にランクインしていたイルミネーションを見て、その近くでエスニック料理をディナーとした。そこの店員さんたちがみんなコミュ強で、俺なら1日で辞めちゃうと話していた。コミュ強は店の雰囲気のよさを生み出す。美味しかったしすごく親切なお店だったのでまた行きたい。

 門限の時間まで最寄り駅のホームにあるベンチでずっと話していた。

「こんなに電車が通過してこんなに大きな音が鳴るの?」

と驚いていた。これが普通だと思っていたから電車が通過するたびに会話が途切れるのが何だかおかしくて内心笑ってしまっていた。ごめんよ。

デート日記 通話編

 2020年11月29日㈰になって26分後

「電話しませんか?」のトークが来て電話をする。

「ごめんね、声が聴きたくなったんだ。迷惑じゃなかった?」

 いつも声が聴きたいというのは自分ばかりで、向こうにはそんな気持ちはないと思っていたからこの言葉にたまらなく嬉しくなって心があったかくなった。

 

 「電話切らなきゃいけないの寂しいな」

という自分のぽつりと言った言葉で翌日(同日の10時半ぐらいから)もまた電話をすることになった。

 たしか自分の名前を呼んでと頼んで応えてくれたあと、「今名前呼んだときに何て言ったかわかる?」と言われ名前を呼んでもらったことしか聞こえていなかった自分は全く気付いていなく、何て言ったか文面でいいからもう一回教えてと頼んだら「だいすき」と来た。ありがとう。

Renaissance

今週のお題「自分にご褒美」

 同居人が独身時代に買ったレコードがずっと段ボールに入ったまま物置にあって、このままじゃもったいないとずっと思っていたので遂に押し入れから救い出し、レコードプレーヤーを買うことを合意。

 恥ずかしながらレコードの知識はなかったもので、LPと呼ばれること、回転数に種類があること(家にあるものは全て33 1/3回転)、縫い針のように思っていた針が意外にもチョーンだったこと、おまけでついていたという"ソノシート"というセロファンのような存在を知りましたとさ。

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左上から反時計回り:メイク道具、書籍の一部、CD、レコード(92枚)、雑誌、語学書

プレーヤー。ラックの下にはカセットテープも。

 このレコードプレーヤー、レコードはもちろん、カセットテープ、CD、FM・AMラジオまで聴けてしまうハイパー優れモノ。到着し、「針を落として」聴いてみたらちゃんと聴ける!何を当たり前なことを抜かしていると思われるかもしれませんが、もう感無量でした。35年の時を経て日の目を浴びさせてあげることができました。

 

 Renaissance 仏:再生、復活。

 

家宝

 11月20日。古本を買おうとしたら、この日になんと新書と完全版が同時発売されることをAmazonで知った。フラゲしている人の感想でも見ようとTwitterを開いたらジュンク堂にてサイン本の入荷が目に入った。「吉田さんのサイン本がある。」と聞いて体に鞭を打って飛び出した。焦りと昂揚感。周りが早く動いて見える。急がなくては。体は燃える。負けずに早く歩いて目的地にたどり着いた。

 好きな作家のサイン本なんて1冊も持っていない。これこそ「やらない後悔よりやる後悔」だと誰かに言われた気がした。

 店員に場所を聞いたら本を持ってきてしまった。置いてある場所に一緒に行くことを目的としていたので最初に渡されたモノを見た時は本物なのかと思って結局自分で探しまくって見つけた。そこにはたくさんの吉田篤弘さんの本。図書館でしか見たことのない蔵書の多さと自分が手にしてるのは本当にサイン本なのだと手が震えはじめる。これまで見た文庫本より大きい本はみんなカバーがかけられていたから、むき出しの生まれたての赤ちゃんたちを見ているような気分。

 結局サイン本2冊を抱えて会計に行き、飛んで帰ってサインを見て幸せに浸っていました。ありがとうSNS、ありがとう吉田さん。

 いつか収まった時にトークイベントやらないかな。泣いて感謝を伝えたい、なーんてね。

敬老の日だったので

今週のお題「おじいちゃん・おばあちゃん」

 電話をした。敬老の日だからと電話するのはいつぶりなのだろうか?昨年から、自分の本能がおばぁ、おじぃと話せるのが最期になってしまいそうだと思ってから、頻繁に連絡を取るようにしている。話すたび色んな事を知ることができる。

 

「おばぁ、こんばんは。今大丈夫?」

「大丈夫よ、どうしたの。」

「今日敬老の日だから、電話かけようかなって思って。」

「えぇ、ありがとう、元気ね?」

「うん、元気よ。おばぁもがんじゅーね?」

「うん、がんじゅーよ。〇〇よく方言知ってるね、若いのにすごい。」

「おばぁに方言で話すと喜んでくれるから勉強してるんだ、父さんがおばぁの方言が違うって聞いてすぐわかったって言ってたなあ。」

「そうね、おばぁからしたらここの方言は特徴的だよ。でも、どこの沖縄の方言も意味は分かるさあ。」

「へぇ~!初めて知ったや。」

 

***

「大好きな〇〇からの電話だよ!」

と言って代わっている声を聴いて泣きそうになってしまった。大好きだなんて言ってもらえるなんて。

「おじぃ寂しいから早く会いにきて」

と言われてさらに泣きそうになって声が上擦ってし、同時に強烈に驚いた。父から聞いていたおじぃが「父」だった時代は、長男次男を厳しくしつけていたことは聞いていたからだ。自分が知っているおじぃはそんな人ではもうなかったが、寡黙な人なのだ。

「沖縄に帰れるようになったら、すぐに会いに行くからね。それまでがんじゅーでいてね?」

「うん、ありがとうね」

 

 早く安心して帰ることができますように。

 

「ロマンスは帰り道にあり」

 と、友人がキャッチーなことを言ったものだから思わずこうやってタイプしている。

 

 帰り道のことをやたら覚えているのはなぜだろうと思ったのだが、裏を返せば、帰り道にそういった心を動かされるような出来事が発生するのだろう。きっと行きの道より心に余裕があるからなのだろうか?帰り道が別れる時に、人波と一緒に降りていく自分へぽんぽんと肩を叩かれて、目が合うことや、控えめに手を挙げて別れること。ギリギリまで目で追って、相手も振り返って姿を確認しようとしてくれる昂揚感、何とも言えないなあ。

扇子

 扇子を貰って思い出したことがある。自分が風邪を引くと同居人がやってくれていたことだ。

 自分は幼少期は特に病弱で、月に1回は風邪をこじらせ、体重が2kgほどがくんと落ちてしまう子だった。

 今は風邪をこじらせることは大幅に減った。しかし、その代わりと言ってはなんだが、インフルエンザや肺炎など大きめの病気にかかってしまうことがある。

 気道が通りやすくするために、毛布や座布団、椅子をいつもの蒲団に敷いて半分起き上がっているような状態にし、氷枕に洗面器に少し高いティッシュポカリスエットが用意される。早めの時間に寝つく時に、「暑いよね」と扇子を持ってきて寝付くまで扇いでくれるのだ。あと、体をぽんぽんと叩いてくれる。これは風邪を引かずとも昔はしょっちゅうやってくれていたことなのでとても懐かしい気持ちになった。